都心の過密ダイヤを支える仕組み(信号編)

都心に住む大体の人たちは鉄道を使う。

通勤、通学、買い物、休日のお出かけ、理由は様々であるが都心に住む人にとって鉄道は生活において無くてはならないものである。

それゆえに、都心の鉄道は多いところで2、3分に1本の本数で電車がくる過密ダイヤだ。

しかし、こんなに多くの電車を捌くのは決して容易ではない。

多くの電車が走るということは、それだけ安全や維持に多くの労力と設備が必要ということだ。

どのような工夫がなされているか、全てを書くには一度では書ききれないので、今回はダイヤを捌く一番の要ともいえる”信号”に焦点を当てて行くことにする。

鉄道にもある信号

信号は鉄道においても絶対無くてはならないものだ。

道路みたく他の線が横切るわけでもないのに何故かと思う方もいると思うが、鉄道における”信号”は、列車同士の間隔を調整する役割がある。

また、都心から離れた単線区間(線路が1本しかない区間)では、列車同士の衝突を防ぐ役割もあるが、それはまた別の機会に語ろう。

閉塞区間とは?

列車同士の間隔というのが、鉄道のダイヤを捌くにあたって重要なものである。

鉄道の定義として、信号と信号の間には一つの列車しか入ることが出来ない。

その、信号と信号の間の区間のことを、”閉塞区間”とよぶ。

閉塞区間は、路線によって異なり、平均的に400メートルから500メートルくらいだが、都心の過密路線では、200メートル以下となるところもあり、逆に本数の少ない路線では、1キロくらいのところもある。

(ちなみに新幹線はスピードの関係から約1.6キロ設けられている。)

信号の色は、道路と同じく、赤、青、黄、となっている。

変わるタイミングとしては、一つ前の区間で列車がいるときは、赤となり、当然停まらなければならない。

列車が一つ前の区間を抜け、二つ前にいるとき、信号の色は黄色に変わる。

そのときに発車するが、すぐに停止しなくてはならない場合もあるため、速度制限が設けられることもある。

二つ目の区間を抜ければ、信号は青になる。

道路の信号とは逆の変わり方をするのが特徴だ。

ちなみに、鉄道の信号は基本は今の3つが使われるが、都心のターミナル駅などでは、より多くの電車を捌くため、4つ、5つ、6つの信号も存在する。(色は3色)

この仕組みは、非常に複雑なため、また別の機会に語ろう。

駅の手前で電車が詰まる訳

信号を使う場面が一番多いのは駅だ。

当然ながら駅には必ず信号が設けられている。

信号は列車のダイヤを組むのにとても大事な役割を果たしている。

駅の到着時間や発車時間は信号に従い決められている。

それが、利用客にとっては厄介な存在に思えてしまうこともある。

朝夕などのラッシュ時において、それは遅延の原因になるからだ。

ラッシュ時は、駅での乗降に時間がかかり、出発が遅れるのは毎日の光景だ。

それに合わせ、過密なダイヤのため、列車が常に前の閉塞区間内やその一つ前にいる状態になる。

つまり、常に徐行運転や信号、駅の手前で列車が停まったりする。

都心へ通勤する人なら誰もが経験あるであろう。

だが、こればかりは安全を確保するために必要不可欠なものだからどうしようもない。

とはいえ、この状況を少しでも改善するために工夫なされているところもある。

駅の中に信号?本数を多く捌くための工夫

普通、駅の信号は、駅の手前と直後の2か所だが、過密路線でも特に本数の多い駅では、ホームの真ん中あたりに信号が設けられているところもある。

通常、駅は先述の通り、手前と直後にあるため、駅構内は閉塞区間となる。

そのため、前の列車が駅構内を完全に出るまで、次の列車は駅に入ってこれない。

通常ではこれで何も問題はないが、先述の通り、遅延の際、遅れを取り戻すのにかなり大きな弊害である。

そこで、ホームの真ん中に信号を設置することにより、前の列車がホームの真ん中を過ぎれば、次の列車が駅に入ってこれるようになる。

その差はほんの何十秒というものだが、それが何駅、何十本ともなるとその効果はかなり大きい。

実際に、このような工夫があり、都心の過密路線のダイヤは支えられ、より多くの人々が利用しやすいようになっている。

運転席で信号確認ができる「ATC」とは?

先述の通り、都心の路線は、閉塞区間が狭く、信号の数もかなりのものだ。そのため、運転士が信号を見落としてしまい、大事故になる危険が潜む。

そこで、運転席にその路線の信号を確認できるようにし、それに基づいたスピードで運行できるようにしたものが”ATC”(自動列車制御装置)とよばれるものだ。

ATCは首都圏のほとんどの路線に使われており、そこの路線を直通する全ての列車にその装置が付いている。

あと、高速運転で信号が目視しづらい新幹線にもATCが使われている。

列車が事故なく運行できるのもこのような開発があってのことだ。

まとめ

列車を普通に運行させるのにこれ以上にもっと多くの労力と設備が必要だ。

それが都心の過密路線ならなおさらのことである。

次回はこれも大事なことの一つの”列車の折り返し”について語っていこうと思う。

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TrainandTrip (トレトリ)運営者

首都圏を中心に貴方だけの旅行のプランをカスタマイズします。

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また、鉄道旅のアドバイスや時刻表の見方などもお答えします。

北海道出身東京住みの鉄道好きです。
鉄道を使った東京旅を紹介したり、主に首都圏の鉄道の豆知識を書いてるブログです。

1989年北海道札幌市生まれで父親の転勤で茨城や仙台に住んでた時期もありますが高校からまた戻ってきました。

大学までまた札幌で育ち少しだけ愛知で働き、現在東京に住んでおります。

大の鉄道好きできっかけは、実家の真ん前に駅と踏切があり、小さい頃から馴染みのあるものだったからです。

列車はもちろん駅の周辺をぶらついて、色々な店や観光スポットを巡るのも大好きで、今は住んでいる東京をメインに探索しています。

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